×月×日
この日は1本の電話からはじまった。


まりこさんのお父さんからお呼び出しである。
この人はちょっと変わり者なので苦手だ。
僕は仕事帰りにお父さんの家へ寄ることにした。


お父さんは僕を見るなりこう言った。

「あのピンク色の家は趣味が悪いな!」


確かに僕もそう思う。

「あ〜…はい…」


しかし、あの家に引っ越した経緯なんかを熱心に話したところ、



あっさりと流されて、

「今日から私は、仕事でニューヨークに発つことになったんだよ」

と言われた。

「そういうわけで、しばらく留守を預かってくれ」


この急展開にあっけにとられながら、
とりあえず僕はお父さんを見送った。


こうして僕たち家族は、しばらくまり子さんの実家で生活することになる。


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